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Hitachi

日立ストレージソリューション

コラム
デジタルトランスフォーメーション時代の
ストレージを再考する(1)

DXプロジェクトで求められるストレージインフラの条件

国内市場においても、第3のプラットフォーム(クラウド、ビッグデータ/アナリティクス、モビリティ、ソーシャル技術)を活用してビジネスモデルの変革や競争力の向上を実現するデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業が増加している。IDCが2018年に国内企業に対して実施した調査(回答企業808社)では、全社単位または部門単位でDXプロジェクトを実践している企業が36.3%に達し、試験的に実践している企業も31.3%であった。取り組む企業が増加すると共に、DXプロジェクトを支えるストレージインフラの条件が明確になってきた。DXプロジェクトはスモールスタートで立ち上げ、変化に応じてビジネスのスケールを柔軟に拡張あるいは縮小することが求められる。こうした特徴を持ったDXプロジェクトを支えるストレージインフラは、初期投資を抑制したスモールスタート、迅速な導入/構築の実現、ビジネスの変化に応じた柔軟な拡張性/縮小性、運用の容易性が条件として求められる。しかし、現在のITインフラの典型的な投資パターン(たとえば、サーバー、ストレージ、ネットワークを異なるベンダーから購入してインフラを構築する、あるいは数年先までの容量や性能を想定してインフラを構築するなど)は変動要因が少ない基幹系システムのインフラ構築では依然として有効であるが、DXプロジェクトを支えるインフラとしては、構築に時間かかりすぎる、運用管理が複雑になる、柔軟な拡張が難しいなどの課題が明確になってきた。

多様化するストレージインフラの提供形態

DXプロジェクトで求められるようなインフラの条件に対応するため、ストレージベンダーはストレージインフラの提供形態を多様化させている。多様化の方向性の一つは製品や機能を融合する「コンバージェンス」である。具体的には、サーバー、ストレージ、ネットワークをパッケージ化し事前検証をした上で提供するコンバージドシステムや、コンピュートとストレージの機能をx86サーバー上に実装して提供するハイパーコンバージドシステムの提供が進み、その普及率が上昇している。ユーザー企業は、コンバージドシステムやハイパーコンバージドシステムの利用によって、従来型のインフラ構築では困難であった迅速な導入/構築、運用管理の簡素化、柔軟な拡張性の実現が可能になる。

提供形態の多様化のもう一つの方向性は「サービス化」である。これは、ストレージインフラをハードウェアとしてではなく、サービスとして提供する形態である。ユーザー企業にとっては、ストレージインフラに対する支出がCAPEX(設備投資)モデルからOPEX(運用支出)モデルに移行することになる。サービスとしてのストレージインフラ提供の典型的な例は、クラウドサービスプロバイダーが提供するIaaS(Infrastructure as a Service)などのパブリッククラウドサービスである。パブリッククラウドサービスの利用は迅速な導入、スモールスタートの実現、柔軟な拡張性、従量課金などが評価され、ここ数年で利用する企業が大幅に増えた。その一方で、最近ではパブリッククラウドからオンプレミスに回帰する動きも出てきている。これは、ユーザー企業がパブリッククラウドの利用経験を積んだことで、オンプレミスで運用するメリットを再評価するケースが増えているためと考えられる。IDCの調査では、すでにパブリッククラウドを利用している企業がオンプレミスに移行する理由として、「セキュリティの向上」「パフォーマンスの向上」「ネットワーク管理の複雑さの解消」などを上位項目に挙げている。

オンプレミスの従量課金制サービスを利用するメリット

サービスとしてのストレージインフラに関して、最近国内市場でユーザー企業の導入が増加しているのが、ストレージベンダーが提供する「オンプレミスの従量課金制サービス」である。このサービスは、ユーザー企業が自社で管理するデータセンターなどのオンプレミス環境にベンダー資産であるストレージインフラを導入し、それを設計/構築、保守サポートなどを含めて従量課金で利用するサービスである。ユーザー企業は使用量に応じた料金を月額で支払うが、需要増などで増設が必要になった場合はあらかじめ設置された容量や性能のバッファを利用して迅速に容量や性能を拡張できる。

このサービスの特徴は、初期投資を抑えたスモールスタートが可能であると同時に、ビジネスの変化に応じて柔軟にインフラの性能や容量を拡張(縮小)できるといったパブリッククラウド的な利用が可能なことである。また、このサービスのもう一つの特徴は、ストレージインフラがユーザー企業のオンプレミス環境で運用管理されるため、ユーザー企業のコンプライアンスやセキュリティなどのポリシーに応じた運用管理が可能となり、オンプレミスのメリットを生かせることである(Figure 1を参照)。

Figure 1 オンプレミスの従量課金制サービスの利用理由

これまでストレージインフラのオンプレミスの従量課金制サービスは、大企業の大規模システム向けを中心に提供されてきた。しかし、最近では中堅企業の中規模システムを対象としたサービスも提供され始め、国内でも利用企業の裾野が広がりつつある。IDCの2018年の調査(回答企業700社)では、オンプレミスの従量課金制サービスを利用している企業の割合はまだ14.4%に留まっているが、2年以内に利用を計画している企業は25.0%、時期は未定であるが利用を検討している企業は11.3%となっており、このサービスのメリットを理解し始めた企業の利用意向が高まっている(Figure 2を参照)。IDCでは中長期的には、ITインフラに対する支出方法がCAPEXモデルからOPEXモデルに移行していくと考えているが、クラウドサービスと共に、オンプレミスの従量課金制サービスがDXプロジェクトの条件に対応したストレージインフラとして重要な役割を果たすと考えている。

Figure 2 ストレージインフラの従量課金制サービスでの利用意向

ストレージインフラの導入を支えるサポートサービス

DXを支えるストレージインフラに求められるもう一つの条件は「データ基盤」としての進化である。DXプロジェクトでは膨大で多様なデータからビジネスに資する価値をいかに引き出すかが鍵になる。ストレージインフラは、データの価値を引き出すプロセスを支援するために新しいテクノロジーを積極的に取り入れ、企業のデータ管理戦略を支えるデータ基盤として進化していくことが求められる。

IDCの2018年の調査では国内企業のデータ管理戦略の重要度評価では「データ処理の高速化」がトップとなった。これは、既存アプリケーションの高速化が求められると共に、DXプロジェクトなどではリアルタイム処理の重要性が高まり、これに対応する新規アプリケーションが増加しているためである。

これまで、企業がデータ処理の高速化に取り組む際に、HDD(Hard Disk Drive)をベースにしたストレージインフラでは、そのI/O性能がボトルネックとなっていた。しかし、高IOPS(Input/Output Per Second)、低レイテンシーを実現したオールフラッシュアレイ(AFA)の普及が進み始めたことで、ストレージインフラのボトルネックの解消が進んでいる。ここ数年でAFAの持つ高IOPS、低レイテンシーに加え、低消費電力、省スペースといったメリットに対する理解が進み、多くの企業にとってAFAは具体的な投資の対象となってきた。その一方で、AFAのメリットを十分理解しながら、その初期導入コストの高さや投資効果の評価などが導入障壁となっている企業も少なくない。AFAの導入の裾野を広げていくためには、ユーザー企業の導入/構築の障壁を下げ、投資の最適化を実現するベンダーのサポート能力が重要になっている。

ストレージベンダーは、AFA市場が形成され始めて以来、その導入障壁を下げるためにAFAに搭載されるSSDやフラッシュデバイスの耐久性保証などの各種サポートサービスを行ってきた。さらに、最近各社が力を入れているのは、AFAの容量最適化サービスである。これは、ユーザー企業が既存のストレージインフラからAFAのような重複排除/圧縮機能を持ったストレージに移行する際に事前に容量削減効果を見積もり、その容量削減効果を保証するサービスである。ユーザー企業は、こうしたサービスを利用することでAFAへの移行時の容量削減効果を保証されると共に、投資の保護や投資の最適化を実現することが可能になり、AFAの導入障壁を下げることにつながる。

DXに取り組む企業の増加や、DXプロジェクトで求められるストレージインフラの条件の変化に伴い、ストレージベンダーはユーザー企業のストレージインフラの導入/構築の課題を解決するためのサービスメニューの強化を進めている。こうしたサービスの強化は、ベンダーにとっては既存ユーザーの満足度を向上させるだけでなく、新規ユーザー獲得のための重要な差別化戦略になっている。一方、ユーザー企業にとっては、自社のストレージインフラの選定基準の中にベンダーのサービス提供能力を加えることで、より自社に適したストレージインフラの導入/構築の選択が可能になる。

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