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Hitachi

日立ストレージソリューション

コラム
デジタルトランスフォーメーション時代の
ストレージを再考する(2)

ストレージインフラの運用管理の複雑化と管理負荷の増大

前回のコラムでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトに取り組む企業の増加と共に、求められるストレージインフラの条件が変わり、インフラの提供形態が多様化していることやオールフラッシュアレイなどの新しいテクノロジーの普及のためにはベンダーのサポートサービスが持つ役割が重要になっていることを考察した。今回は、ストレージインフラの運用管理に関する課題とその課題を解消するための運用管理の自動化について考察する。
国内企業におけるストレージインフラのオンプレミスでの運用管理環境は仮想化から、プライベートクラウドに移行しつつある。IDCが2018年に実施した調査(回答企業700社)でもストレージインフラの運用管理環境がすでにプライベートクラウドに移行している企業は24.0%であり、2年以内に導入を計画している企業も23.6%に達している。DXプロジェクトのようにビジネス変化への迅速な対応が求められるプロジェクトは、サービスやリソースを俊敏で柔軟に提供できる仮想化やプライベートクラウドの環境でストレージインフラを構築、運用することが必須になっている。
その一方、仮想化やプライベートクラウドが普及して大規模化し、その環境で(物理、仮想を含めた)サーバー、ストレージなどの管理対象が増大し、多くのアプリケーションが稼働するようになったことで、ストレージの運用管理の複雑化や管理者の管理負荷の増大が進んでいる。管理者は、ストレージインフラの安定稼働の実現やデータ保護などの日常的な運用管理業務に加え、アプリケーションごとの異なる要求に応じたリソースのプロビジョニングや構成の最適化などの大量の業務を迅速に処理することが求められている。今後パブリッククラウドの利用が進み、プライベートクラウドとの統合的な管理が求められるハイブリッドクラウド環境が増加してくると運用管理の複雑化や管理者の管理負荷の増大は加速すると考えられる。
企業が保有しているデータの多様化とデータ量の増大もストレージの運用管理の複雑化や管理者の負荷増大を招いている。IDCでは、2017年の国内エンタープライズストレージシステムの出荷量は10.8EB(エクサバイト)であったが、2022年には31.0EBに達すると予測している。従来型の構造化データや非構造化データに加え、IoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence)などの新規ワークロードによるデータが加わることで、企業がオンプレミス、あるいはパブリッククラウドで管理すべきデータ量は大幅に増加する。DXプロジェクトに留まらず、ビジネス全般においてデータから価値を引き出すことが企業の成長を支えるという認識が広がったことで、データは重要な資源となり、データのライフサイクル、アクセス性、セキュリティ、コンプライアンス、データ保護レベル、運用管理コストなどの多様な評価軸に応じて適切に運用管理を行うことが強く求められている。

国内企業におけるストレージ管理者の実態と課題

国内市場においてストレージの運用管理を考える場合、管理者が置かれている環境を理解することが重要になる。IDCが国内企業を対象に毎年実施している調査では、ストレージの運用管理の課題として、管理者の不足と管理者のスキル不足が常に上位に挙げられている(Figure 1を参照)。

Figure 1 自社所有のストレージインフラ運用管理の課題

先述したIDCの調査では、この2年間におけるストレージ管理者数の増減について「横ばい」が46.9%と最も多く、「増加」が34.8%、「減少」が15.5%、「分からない」が2.9%であった。管理対象システムや管理対象データ量が増加する一方で、約半数の企業でストレージ管理者は横ばい状態のままである。また、3割以上の企業でストレージ管理者が増えていると回答しているが、その実態は必ずしも高いストレージ管理スキルを持った専任管理者が増えているわけではなく、仮想化やプライベートクラウドの拡大に伴いサーバーやネットワークを管理していた管理者が兼任管理者としてストレージ管理に携わるケースが増えているためであるとIDCではみている。Figure 2が示すように、ストレージの専任管理者を置いている国内企業の割合は28.3%にすぎず、残りは必ずしも十分なストレージ管理スキルを習得していない兼任管理者がストレージ管理を行っている。これは、中堅中小企業だけの傾向ではなく、大企業でも同様の傾向にある。

Figure 1 国内企業のストレージ管理者の実態

こうした調査から推察できるのは、仮想化やプライベートクラウドの拡大やストレージの運用管理の複雑化などに伴い運用管理スキルの高いストレージ専任管理者に負荷が集中すると共に、運用管理スキルがそれほど高くない兼任管理者に対しても高度な運用管理への対応が求められるようになっているというのが、国内企業のストレージ運用管理環境の実態である。

これまで、国内企業のストレージ運用管理の実態を見てきたが、ストレージインフラの安定稼働を実現し、DXプロジェクトで要求される柔軟なサービスやリソースの提供を可能にするためには、多くの国内企業が直面している運用管理の複雑化や管理者の管理負荷の増大、管理者不足と管理者のスキル不足といった課題を解決することが求められている。

ストレージ運用管理の自動化がもたらす価値

運用管理の課題解決の柱となるのは運用管理ソフトウェアを活用した運用管理の自動化である。国内市場でもジョブスケジューリングによるタスク管理などの運用管理ソフトウェアの導入による自動化が進んでいる部分もある。しかし、仮想マシン/アプリケーションに対するプロビジョニングや構成の最適化などのプロセスでは運用管理の自動化ソフトウェアが十分に普及しておらず、管理者の手作業に依存しているケースがまだ多い。管理者の手作業という属人的なプロセスが多くなることは、管理者の管理負荷が増大するだけでなく、そこから人的ミスが発生し、場合によってはシステム障害を引き起こす原因になり得る。このため、自動化が十分に進んでいないプロセスにおいても運用管理を自動化するソフトウェアの導入は国内企業にとって重要な課題となっている。
運用管理の自動化ソフトウェア市場には大手ベンダーだけではなく、新興ベンダーも含めて多くのベンダーが参入している。これらのベンダーが提供する運用管理の自動化ソフトウェアは、多数のユーザー企業の運用実績やストレージベンダーのユーザー企業に対するコンサルティングなどで蓄積したベストプラクティスに基づく運用管理のノウハウがテンプレート化されて提供されている。ユーザー企業はこのテンプレートを活用することで、高いスキルを持つストレージの専任管理者に依存しなくても、比較的容易に自動化に着手できる。国内市場においても、仮想マシン/アプリケーションに対するプロビジョニングや構成の最適化などのプロセスで運用管理の自動化ソフトウェアの普及が進んでいくと、IDCでは考えている。なぜなら、これまで見てきたようにストレージ運用管理において運用管理の簡素化、管理者の負荷軽減、手作業に伴う操作ミスの削減、運用管理コストの抑制、ビジネス要求への迅速な対応などを実現することの重要性が高まっているためである。運用管理の自動化は上記のメリットだけでなく、自動化の実現で余裕の出た優秀な人材をDXプロジェクトなどの企業の競争力強化につながる企画業務や開発業務に再配置する、あるいは管理者の「働き方改革」につなげるといった人材活性化の面でのメリットも期待できる。
ストレージの運用管理の自動化の導入は、部分的な運用プロセスの自動化から、プロセス全体の自動化へと適用範囲が拡大していく道程をとることになる。その際には、より高度な運用管理やサービス品質の向上を実現するためにアプリケーション、サーバー、ネットワークを含めたITインフラ全体の統合管理や自動化と連携して取り組むことが求められようになるとIDCでは考えている。

導入によって高い効果が得られるストレージの運用管理の自動化であるが、ユーザー企業によっては経験や知識の不足、あるいは従来の運用管理方法からの大幅な変更などが障壁となり、独力で取り組むことに困難を感じる場合も考えられる。そうした場合は、ストレージベンダーやシステムインテグレーターが提供するコンサルティングサービスを活用することは有効な方法である。こうしたサービスを利用して、自社のストレージ運用管理の課題の明確化、運用管理自動化の導入プロセスの策定、自動化の導入による投資効果の測定などを行うことで、自動化に対する投資判断を有効に行うことが可能になるとIDCではみている。

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